「う.......ひっく......うぅ......」



            なに泣いてんだろう....。昔、よく言われたことじゃない....。

            あの男が言っていたことは正しい。私は化け物扱いされてもおかしくはない。

              でも、あの時から...大将にあってから慣れてしまったんだ。






                    自分が化け物と呼ばれないことに。

             「泣いたらいけないっていわれたのになぁ.....ゴメン大将。人前じゃないから許して。」


                    「大将って誰だオイ。」    「!!!!!!」

                      大将。ごめん。人いたや。
             「アンタ「銀時だっていってんだろ〜。紅の双孤ちゃんは名前も覚えれねーのか?」」

                         「...............。」
            いつもなら、「おちょくってんのか。殺すぞ。」とか言ってけなしていたが、
            いまはそんな気分じゃない。

            「おっ!!初めて口で勝った。ここ座っていいか?」
            私の隣をゆびさしていった。この男、何しにきたのだろう。
            とにかく、「別に。」っていったら「サンキュー」っていった。
            しかし、こいつ何時からいたんだろう。


           「アン「銀時」」......どうしても名前で呼ばせたいみたいだ。
           話が続かないので、名前で呼んでみた。






                「銀時は、何時からここにいたの?」ストレートに聞いてみた。
           
              「んー?双孤が泣いているところから。」  やっぱり、見つかっていた。
             
               「で、大将って誰?」「教えない。」

              「銀さん、質問に答えたのに、双孤だけ答えねぇなんてずりぃぞ、コノヤロー。」
               ずるいなんて言われて少し嫌な気分。自分が反則したみたいな....。


                          だから

              「わかった。教える。」「おっ。今日は意外に素直だなぁ。」

              「うるさい。やめるよ?」「ヤダ。」

             「.....大将っていうのは、私にとって最初で最後の仲間のなかで頭だった人でもあり、
              お父さんみたいな大切な人だった。でもある日。私がこうやって屋根の上で空を見て
              いたら、前から天人の軍団がやってきたの。全滅させたのに、まだ残っていたらしくって
              、私は前から攻めてくる天人を倒していた。で、全滅させて部屋に戻ったら..........



みんなの死体が山になってた。

              みんなを殺した天人はそのままズラかって逃げていった。ってとこ。これで十分?」

           「.......で、なんで面つけてんだ?」 飽きずにまた質問してきた。

           「私は、1つしか質問してないからもう教えない。もう終わり。早く寝な。」

           「あいにく、女が泣いてるってーのに置いてく人間にはできてないんでねぇ。」

                     「!!!!!」

            私.......また泣いているんだ......。


                  孤の面の下から涙が流れ落ちていた。


                         銀時と視線があった。

           この男の目は、昼間は死んだ魚のような目をしているのに、今は



                        とても澄んでいて



                       まっすぐとした目だった。


                        次に出た言葉は

            「お前よぉ、死んだやつらの墓。作ってくれてんだろ?」


                         「え?」
                  なんで!!なんで知ってんの!!
             こいつ、まさか覗いてた!?


          「はぁ......なんなのよ、もう。一人にさせてよ。殺すよ。」 私は強気にいってみた。

           「殺せるなら、殺してみろ。オレは今、真剣だ。」

           銀時は、昼間とは全然ちがった。下がるようすもない。
       
   「質問があるんだけど」「ヤダ。」「じゃあ、双孤を一人にさせねぇ。お前とずっとここにいてやるからな。コノヤロー。」

                 「..........。」適当に答えておこう。そうだよ、私を知りたいなんてバカげている。

              こいつに何言ったって変わらない。

    「じゃあ、なんで面なんざつけてんだ?」「殺す奴にわざわざ顔なんて見せなくてもいいと思ったから。」

    「.....じゃあ、何で名前をいわねぇんだ?」「いっても別に変わらないから。」

     嘘だ。なんで面つけているのかも、名前を名乗らないのも.....。

    「....じゃあ、なんで墓をつくってんだ?」「ただかわいそうと思ったから。」 嘘だ。それだけじゃないはずだ。






              「じゃあ、なんで.......仲間を作ろうとしない。」






           「!?....それは........................邪魔だから。」



                    嘘だ。私は全部嘘で通した。

            どうせ、こいつにはわからない。私のことなんか......。

                  と思ってた。でもこいつは、銀時は違った。




           「オイ。全部嘘ついてんじゃねーよ。コノヤロー。」




                「!!!!!!!」




            そのまっすぐとした目は  


                      私を見透かしていた。